いったい今度はなにが彼女を泣かせてるんだろう。漏れ聞こえるシャワーのおとに、紛れ込んだ自分のなまえを探し当てたとき高杉は、腹が立った。
映画だのキョウダイ喧嘩だの、なみだもろい彼女が目の前で堂々と泣くのはいつも、あとに引きずらない理由ばかりだ。泣くほど傷ついて、悔しいおもいをすればするほど負けず嫌いの彼女が、意地でも明かそうとしない泣き顔と、その意味を、腐れ縁の銀髪に耳打ちされてようやく知ったこともある。
オマエの昔のオンナにボロクソに言われたんだってよ。と、非難にちかい口ぶりで第三者に教えられたあのときの、居心地悪さと自分自身への腹立ちを、二度と食らいたくはないんだと、あれだけ頼み込んでもまだ隠れて泣こうとする彼女に腹を立てるのは、これで何度目だろう。放り上げる勢いで靴を脱いで、肩にぶらさげていたバッグを廊下のすみに投げ捨てながら、黙り込むに違いない彼女をどんなふうに暴いてやろうかと、企てるだけの冷静さはけれど、風呂場のドアの隙間から逃げ出す湯気と一緒に飛び散った。
華奢な手と、ほそいゆびで、ちいさな胸とうすいしげみに隠れた性器を、たどたどしくいじりながら、もどかしくなまえを呼ぶくちびるを黙って見てられる余裕なんてどこにもなかった。ないはずなのに、こんなこどもに我を忘れてたまるものかと、意地を張るプライドだけで成り立った見せかけの余裕を、怖いもの知らずな彼女がぶち壊してくれたおかげで生まれたのは、嗜虐心だ。本気になったオトナがどれだけ、見境のない生き物か、おもい知った彼女の泣きじゃくる顔はきっと、たまらなく可哀想でかわいいだろう。
いつもより乱暴に抱き上げてしまった腕に、後悔するのも高杉は諦めた。ベッドにたどり着くまでの数歩のあいだに、髪を撫でてやることもくちづけてやることだって忘れていた。シーツのうえに投げ出された彼女が、身動きする間も許さずほそい足のあいだにからだを割り込ませながら、濡れて張りつく服を脱ぎ去る勢いでつい左目へ、のばした手を、それでも震える彼女の手は許さなかった。
見えない目を自分のものだと、言い張ることを忘れなかった彼女がいつもどおりくれたくちびるには、噛みついて褒めてやった。

「や…っそれもー、やだ…っ」

駄々をこねる彼女のこえが、シーツのこすれるおとと、彼女のなかをかきまわすゆびのおとに重なって高杉を誘う。
淡かったいろを、せいいっぱい赤く腫らせてとがる胸のさきに、ゆっくりと這わせた舌をみせつけながら視線をあげれば彼女の、潤んだ目がべそをかくようにゆがんだ。

「も、噛まねーで…っ」
「どこを?」
「っ、あぅっ」

言いよどんだすきに、赤いさきのいちばん端を前歯で、ほんの引っかかるくらいにきゅ、とつまんでやったら、握りしめたシーツをもっと握りしめる彼女の、反った背中がまるで、もっと噛んでほしいとねだるみたいにやわらかい胸を押しつけてきた。
おもわずこぼした含み笑いに、彼女がくちびるを噛みしめる。

「嘘はよくねーよなァ」
「っ…んーッ」

必死で睨みあげてくる彼女の目も、ふたつめのゆびをいちどになかへ押しこめば、強く閉じた。
ただでさえ濡れた肉をもっと濡らそうと、あふれる体液を、重ねたゆびで、ぐちゅぐちゅとおとを立ててかきまぜてやる荒っぽさとは、真逆の丁寧さで、頬に沿わせたもう片方の手に、ほだされた彼女のまぶたが、まつげを震わせながら黒い瞳を差し出す。
つぎはなにをされるのかと、おびえるくせしてまっすぐに向かってくる彼女のうるんだ瞳が、からっぽになるまでいじめてやりたかった。意志の強いこの目が、恥もプライドも忘れてすがりついてくる瞬間をおもうだけでくちびるは、勝手にうす笑いを浮かべた。

「自分じゃここ、」

企む欲からかけ離れた優しさで、頬を撫でてやりながら、なかのゆびを彼女のいちばん好きな場所で折り曲げて、こすってやる。

「届かねェだろ」
「っ」

からだじゅうをこわばらせた彼女の、たよりないのどが、ひく、と鳴った。

「アっ、あンっ」
「っ、と」

いつもならもっと、緩やかに追い上げてやる場所だ。はじめから泣かすつもりで引っ掻かれたことなんてない彼女の、もがく足が片方、腰にぶつかる寸前、おさえつけるために高杉は彼女の頬から手を離した。
まっすぐにのびる彼女のほそい足が、みすぼらしく見えないのは機敏にうごく、しなやかな肉に守られてるからだ。機敏すぎて、抱いてる最中、暴れる彼女に無意識で蹴りつけられたことは何度もある。
そのたびに見せる気まずそうなしかめっ面を、からかって遊んでやるのもけれど、いまは諦めるしかない。そんな余裕はなかったし彼女にも、見せてくれる余裕はありそうになかった。
あったらあったで取り上げてやるだけだ。

「や…っゆび、や…っ」
「足んねーっつったのはおまえだろ?」

乾ききってない髪から、水滴を散らばせながら、なにかを訴えようと首を振る彼女の目じりも、頬も、首すじまで、火照ったいろにうすく染まっていた。シーツにすがっていたはずの両手が、伸ばされたら、拒めるほど無情にはなれなかった。いじめて泣かせたいのはほんとうだ。ただおなじだけ、甘やかしてかわいがってやりたいきもちもある。たよりない手がちゃんと届くよう、顔を近づけてやったら彼女は、啼きごえをこぼしっぱなしにしたくちびるで高杉の、くちびるの端につたなく触れた。
彼女の好きな、じゃれつくようなくちづけを、そういえばまだしてやれてなかったと、おもいだして高杉は、ゆびを抜いてやった。ほっとしたように息を吐く彼女のくちびるを、丁寧にふさいでやる。
ん、と満足げな鼻声をあげながら、両手を肩に絡めてすり寄ってくる彼女はきっと、このままのおだやかさがあとは続くだけだとおもってるんだろう。押しつけられる性器をすこしずつ飲み込んで、彼女を怖がらせないだけの慎重さでからだを揺する、雄のからだに、つかまってればそれでいいんだと、おもってるに違いない甘ったれに彼女をしてしまったのが自分なら、裏切ってやれるのも自分だけなのが、誇らしかった。鼻先に落としたキスを最後に、顔を離す。
いつもどおりゴムでも取りにいくとおもってるんだろう、なんの疑問もなく腕をほどいた彼女の、ひざうらを片方、肩に引っ掛けたままからだを起こして、あぐらをかけば、引きずりあがった彼女の背中から、つまさきまでが、斜めに傾いたまま宙に浮いた。

「おまえからだ柔らけーなァ」
「な、に、…っ!」

逆向きにされたからだが高杉の目の前に、自分の性器をさらけだしてるんだと、知った彼女の目一杯に見開いた瞳は可哀相なくらいに怯えていた。可哀相に、なればなるほど、昂る欲に高杉は、喉を鳴らして笑う。

「や…っ、しんすけ…っ」

暴れる余裕さえなくした彼女に、震えるこえで助けを求められたってもっと、ひどいことをしてやりたくなるだけだった。
オンナのそこなんてどれも似たようなものだ。自分から飛びつきたくなるほどきれいなものでもないはずなのに、彼女のものだとおもうだけでかわいく見えてしまうだなんて、都合のいい話だ。
せがまれたって、よっぽど気が向いたときしかいままでのオンナにはしてやらなかったことも、彼女をいじめるためなら喜んでしてやる気になれた。かついだ足を片腕で抱え込みながら、もう片方の手をそこに、這わせる。やわらかいひだをかきわけたら彼女が、ひ、と引きつったこえをあげた。
まだ雌になりきれてない、未熟な少女の、うすいしげみや、ぷっくりと腫れたちいさなつぶや、むき出しのような危ういいろの性器にひどく、いけないことをしてる気になった。いけないことに、興奮するのは動物の本能だろうか。それとも人間の偏った欲だろうか。

「見えっだろ?…グッチャグチャ」
「ぃ、や…っ」

せまいくせに、雄の性器を飲みこもうと必死に蜜をこぼして、うるむそこにゆびを、浅くひっかければ、充血したおさないいろがめくれて見えた。
もとどおりシーツにしがみつきながらやめてほしいと、ことばのかわりに首をふって訴える彼女から、目を反らさないままそこに、ゆっくりと、舌を、差し入れる。

「っぁ、アーっ!」

かすれた高いこえはほとんど泣きごえに近かった。目じりになみだを伝わせながらそれでも、高杉から目を離そうとしない彼女のからだが、舌をうごかすたびにひくんっ、ひくんっ、とちいさく跳ねるのが、楽しくてしょうがなかった。届く限界までもぐらせた舌で、湿った肉を、舐めてぬぐってやる。

「あっ、あうッ!」

押しあてたくちびるで、じゅくっ、とおとを立ててすすってやったら、奪われたぶんをおぎなうようにそこが、あたらしい蜜をとろとろとこぼしはじめた。きゅうきゅうとものほしそうにうごめくそこに、自分のものを、いつも根もとまで飲み込ませてるんだと、考えただけで鳥肌が立った。勝手に浮かんだ笑みに合わせて、ハ、と吐きだしたため息は、ひどく熱かった。重力にまかせてつたい落ちていく蜜が、きゅ、と閉じたうしろのすぼまりまで、濡らしはじめるのを見て、高杉は、彼女の性器から舌を抜きとった。
急にすがたを消したその存在に彼女が、とまどいながらもほっとした顔をするのを、見届けてからゆびを、そのちいさなすきまにたどらせる。

「おまえ、自分の兄貴がどこ使ってセックスしてるかくれェ、知ってるよなァ?」

場違いな質問と、いままで他人にさわられたことのない場所を、なでられる居心地悪さだけで寄ったに違いない、彼女の眉に、こみ上げた笑いを噛み殺す。

「オンナでも使えるって知ってたか?」
「っ、しん…、ッ!」

ゆびのさきを、にゅく、とねじ込ませた瞬間、息をつめた彼女に同調してそこが、ぎゅうっ、ときつく締まった。

「や、め…っンなとこ…っわんな…っ」

彼女がこぼしてくれた蜜を、いりぐちよりほんの内側に、にゅちっ、にゅちっ、とゆびのはらで塗りこんでやれば、違和感のほうが強いんだろう、翻弄されないだけさっきまでよりはずっと、意志のはっきりした彼女のこえと、すこしの強さを取り戻した瞳を、奪い取ってやる用意なんてはじめから、できていた。うす笑いが止まらない、くちびるを、近づけたのはずっと、放っておいた場所だ。
いつもは怖がってあまりさわらせてくれない、そのくせ彼女が自分でいじろうとしたその、赤く腫れたちいさなつぶを、舌で、絡めとった。

「っ!んー!」

彼女のからだがびくんっ、とおおきく跳ねあがった。
くちびるを食いしばって震える彼女の、うるんでぼやけていく瞳が、おもい描いたように変わってくれる瞬間を見逃さないよう、高杉は片目を細めて焦点を合わせながら、ただでさえ濡れたそこに自分の唾液も混ぜこんで、しゃぶってやる。

「ひっ、ん!んぅッ、んンっ!」

舌のさきで、ちゅぷ、ちゅ、とおとを立てていじってやりながら、うしろのゆびを、もうすこし深くまでもぐらせた。自分のものを受け入れてくれる場所より、もっときつくて熱いそこを、やわらかくほぐしてやるようにゆびでかきわけたら、ただ拒むだけだったそこがまるで、性器のようにあやしくうごめきだす。
どんだけやらしくなっちまうんだろーなァこいつ。覚えのいい彼女のからだが高杉には、どうしようもなくかわいくおもえた。褒めてやるために、せいいっぱいとがってふくらんだ少女の、ちいさなそこに、歯を立てた。

   …っ!」

からだじゅうをちぢこまらせるようにこわばらせて、彼女が息を止めた、その一瞬のあとに、がくんっ、とほとんど痙攣するみたいに震えた彼女の、腫れぼったくなった性器から、たくさんの蜜がいちどにどろっ、とこぼれだした。

「ぁ…あ…っ」

おもいだしたように、浅い息を短く吐きだす彼女の、うすいくちびるの端を、飲み込みきれずにこぼれた唾液がつたう。
高杉の望んだとおり、可哀相なほどなみだにまみれてぼやけた彼女の、からっぽな瞳は、すべての感情を手放したぶんひどく、無邪気だった。


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4トラップに変更です。いいのかな。これほんとにいいのかな。
次回、女の子ひじかたくんの逆襲。2トラップくらい?


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